
乗馬を趣味として続けていくと、多くの方がいつかは挑戦してみたいと考えるのが、乗馬ライセンス2級の取得ではないでしょうか。
私自身も最初はただ馬に乗るのが楽しくて続けていましたが、少しずつ技術が身についてくると、やはり上のレベルを目指したくなるものです。
しかし、いざ調べてみると乗馬ライセンス2級における馬場と障害の違いや、乗馬ライセンスの2級と3級の違いなど、技術的な壁の大きさに戸惑う方も少なくないはずです。
さらに実技だけでなく、乗馬ライセンス2級の筆記試験対策はどうすればいいのか、過去問は手に入るのかといった学習面での不安もつきまといます。
また、レッスンが高度になるにつれて気になるのが、乗馬ライセンス2級の取得費用がトータルでどれくらいかかるのかという経済的な問題です。
そして何より、アスリート志向のライダーが気にする日馬連への移行と乗馬ライセンス2級の関係性についても、2022年の大きな制度改定によって手続きが複雑で分かりにくいと感じている方は多いと思います。
さらに、乗馬ライセンス2級が持つ難易度や、実際の合格率の裏に隠された真実を知ることで、今後の計画も立てやすくなります。
この記事では、いち乗馬愛好家である私の視点から、この高い壁に挑むための具体的なステップや、客観的で現実的な情報を整理してお伝えします。
週末の限られた時間の中で、いかにしてこの難関を突破し次のステージへ進むべきか、一緒にその道筋を確認していきましょう。
- 馬場馬術と障害飛越で求められる技術的な要件と高度な操作の違い
- 3級から2級へ上がる際に直面する技術的な壁の正体とその乗り越え方
- 最新の正確な取得費用と専門的な筆記試験への効果的なアプローチ
- 日馬連B級資格への移行に関する令和4年の制度改定と現在の必須条件
乗馬ライセンス2級の壁

ここからは、乗馬ライセンス2級が持つ競技的な性質と、そこに立ちはだかる技術的な壁について詳しく解説していきます。
単なる趣味の乗馬から本格的なスポーツとしての馬術へと足を踏み入れるこの段階では、馬という生き物との関わり方や理解度が根本的に変わってきます。
それぞれの専門領域で具体的に何が求められるのか、そしてなぜ多くの人がここで壁を感じるのかを一つずつ深掘りしていきましょう。
2級における馬場
馬場馬術(ドレッサージュ)における乗馬ライセンス2級は、馬の自然な動きをより美しく、かつ力強く正確に引き出す「人馬一体」の芸術性と精密性が問われる非常に奥深い世界です。
3級までは常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)という基本の三種の歩度をいかに安定して維持し、決められたコースを安全に回るかということが主眼とされていました。
しかし、2級の馬場馬術の舞台においては、ただ乗って指定された経路を回るだけでは到底合格点には達しません。
より繊細な手綱の操作、脚での的確な推進、騎座(きざ)の安定、そしてミリ単位の体重移動など、複合的な合図である扶助(ふじょ)を瞬時に使い分ける高度な技術が必要不可欠となります。
これにより、馬体の収縮(コレクション)や伸長(エクステンション)といった、馬自身のバランスを後躯に乗せた高度な制御が求められるのです。
一般的な乗馬用馬であるサラブレッド等の体重は平均470キログラム前後あり、450〜500キログラムが標準範囲とされていますが、この巨大な質量のバランスを騎乗者がコントロールしなければなりません。
騎乗者は、馬の推進力を力強い後肢から生み出し、それを柔軟な背中を通して騎手の手へと伝える「コンタクト」を確固たるものに確立する必要があります。
試験本番では、競技会さながらの極度の緊張感と静寂の中で、あらかじめ指定された経路(ルーティン)の図形運動を正確な地点で、一切の誤差なく実行することが求められます。
ここでは「馬に乗せてもらっている」という受け身の状態から完全に脱却し、馬の運動を自らの意志でデザインし、導いていくという能動的な介入(アクティブ・ライディング)が求められるのです。
単に馬が動くのに合わせるのではなく、馬の次の一歩を騎乗者が創り出すという、全く新しい次元のコミュニケーションが馬場馬術の醍醐味であり、同時に最大の難関でもあります。
日々の週末レッスンから、馬のわずかな反応の違いを感じ取り、自らの扶助を微調整していくという、気の遠くなるような反復練習が必要になってきます。
2級における障害

一方で、障害飛越(ジャンピング)の乗馬ライセンス2級においては、馬場馬術とは全く異なる次元の空間認識能力と動体視力、そして瞬発力が要求されます。
単に馬を障害物に向かわせて飛び越えさせるだけの単純な競技では決してありません。
障害物へのアプローチにおける馬のペースコントロールから始まり、踏み切りまでのストライド(歩幅)の緻密な計算、そして正確な踏切位置を瞬時に判断する能力が厳格に審査の対象となります。
馬場馬術が馬の動きを精密にコントロールする「静の中の動」であるならば、障害飛越は爆発的なエネルギーをコントロールする「究極の動」と言えるでしょう。
障害飛越の試験では、連続して現れる複数の障害物に対するコース取り、いわゆるラインの選択の正確さが非常に重く見られます。
さらに、飛越の瞬間に馬の背中の動きを一切阻害しないためのツーポイント姿勢(前傾姿勢)の保持と、空中での随伴の美しさが極めて重要になります。
平均470キログラム前後の馬が、障害物を認識して空中に向かって踏み切る瞬間の爆発的なエネルギーは凄まじいものがあります。
その圧倒的な力に対して、騎手が少しでもバランスを崩せば、馬の動きを妨げてバーを落とすだけでなく、人馬ともに怪我をする重大な落馬事故にも繋がりかねません。
いかなる体勢からでも馬の動きに安定して付いていく強靭な体幹とバランス感覚が、安全かつ確実な飛越の前提条件となります。
多くのクラブでは、このレベルに到達するために専用の障害飛越レッスン枠が設けられており、そこで専門的なトレーニングを積むことが必須となります。
週末の限られた時間でこの感覚を養うには、一鞍一鞍の集中力が何よりも試されます。
障害に向かう際の恐怖心を克服し、馬を信じて思い切って前に出していく強い精神力も、この段階で試される大きな要素となります。
2級と3級の違い

多くの方が疑問に思う「乗馬ライセンス2級と3級の違い」についてですが、ここには単なる延長線上ではない、馬術における根本的なパラダイムシフトが存在しています。
3級を取得できた方が、そのままのペースで練習を続けて順調に2級に合格できるかといえば、残念ながらそう甘くはありません。
ここには、多くの騎乗者が直面する深刻な技術的停滞、いわゆる「プラトー」と呼ばれる分厚い壁が立ち塞がります。
3級の段階における最大の目標は、ひたすら「馬の動きに同調し、馬の運動の邪魔をしないこと」、つまりパッシブ(受動的)な騎乗でした。
指導者の指示に従って動く従順な練習馬に乗り、正しい姿勢を維持して落馬せずに運動を終えられれば合格できたのです。
しかし2級では、「馬のバランスを積極的に整え、騎手から馬に働きかけて意図した運動を正確に引き出すこと」というアクティブ(能動的)な騎乗へと評価の軸が劇的に変化します。

この壁を突破するための最大の鍵となるのが、「半減却(ハーフホルト)」と呼ばれる高度な技術の習得です。
半減却とは、歩度を落とさずに馬のバランスを前躯から後駆へと移行させ、次の運動への準備をさせるための「見えない合図」です。
3級までは手綱を引けばブレーキ、脚を使えばアクセルという単一の操作で対応できましたが、2級では「脚で推進力を生み出しながら、手綱でそのエネルギーを受け止めて凝縮させる」という、一見矛盾する相反した扶助を同時に行う必要があります。
この感覚の習得は自己流では極めて困難であり、専門のインストラクターによる緻密な言語化と、それに応える能力を持った質の高い練習馬(スクールホース)の存在が不可欠となるのです。
この違いを頭で理解するだけでなく、身体で体現できるようになるまでには、長い試行錯誤の時間が求められます。
難易度
乗馬ライセンス2級への挑戦において、多くの受験者が大きな不安を抱くのが、その圧倒的な「試験の難易度」です。
事実、2級の試験は級が上がるにつれて難易度が非線形に高まり、試験本番では実際の公式競技会と同等レベルの張り詰めた緊張感の中で、持てる実力を100パーセント発揮しなければなりません。
馬は人間の姿勢や筋緊張、心拍の変化などを敏感に感じ取る生き物であるため、平常心を保つメンタルの強さも実力のうちと見なされます。
さらに、実技だけでなく専門性の高い筆記試験も同時に含まれるため、要求される準備の総量は3級までとは比較にならないほど膨大になります。
単に馬に乗るのが好きという段階を卒業し、自身を「アスリート」として客観視し、長期にわたる継続的な訓練計画を立てる自己管理能力が問われます。
また、大きな質量と独自の意志を持った生物と対話し、予期せぬ動きに対して瞬時に対応できる高い危機管理能力も不可欠です。
これらの資質は、決して短期間の詰め込みで身につくものではなく、週末ごとに馬と真摯に向き合い、泥臭い努力を積み重ねた結果として少しずつ醸成されていくものです。
2級の取得は、馬術という奥深いスポーツの世界において、より高度な技術的探求を許されるための非常に険しい登竜門です。
だからこそ、この難易度を突破して得られる称号は、公的な履歴書の資格欄に記載する価値があり、自分自身の確固たる自信へと繋がるのです。
生半可な覚悟では越えられない壁ですが、越えた先の景色はそれまでの苦労を十分に報いてくれるほど美しいものです。
実際の合格率

ここまで難易度の高さを強調してきましたが、全国乗馬倶楽部振興協会(全乗協)が過去に発表した事業報告書などの客観的な統計データを分析すると、意外な事実が見えてきます。
たとえば令和3年度の実績を見ると、馬場2級の合格率は約85パーセントとなっており、障害2級に至っては年度によって89パーセントから99パーセント台という非常に高い水準で推移していることが確認できます。
しかし、ここで注意しなければならないのは、この合格率が種別(馬場・障害)や受験年度によって大きく変動するという点です。
さらに上位の1級試験になるとそのブレはより顕著になり、馬場1級は概ね76パーセント前後で推移しているものの、障害1級は50パーセント台から90パーセント台まで年度差が著しくなっています。
この「極めて高い難易度」と「表面的に高い合格率」の間に存在する大きな矛盾を紐解く鍵は、各乗馬クラブ側が採用している事実上の「事前スクリーニング(ゲートキーパー)制度」にあります。
つまり、受験者は自分が受けたいと思ったタイミングで自由に試験を受けられるわけではないのです。
日々のレッスンの中で、クラブのインストラクターが受験者の技術レベルを直接かつ厳しく評価し、「この技術なら間違いなく合格できる」と判断した時点で初めて、試験への申し込みが許可されるのが一般的な実務の流れになっています。
すなわち、統計に表れる高い合格率の数字は、「受験を希望した全員」に対するものではなく、「すでに専門家によって合格水準に達していると選別された集団」に対する確率に過ぎません。
この構造を理解せずに「合格率が高いから簡単な試験なのだろう」と誤認することは非常に危険です。
逆に言えば、試験本番で極度の緊張から落馬や経路違反などの致命的なミスを犯さない限り、インストラクターからクラブ経由での受験許可が出た時点で、技術的な合格要件はほぼ満たされていると自信を持って良いのです。
日々のレッスンでの評価こそが、事実上の試験そのものであるという意識を持つことが、合格への最短ルートになります。
乗馬ライセンス2級の試験対策と移行手続き
実技の壁を越える道筋が見えてきたら、次は避けて通れない筆記試験への対策や、資格取得後のキャリアパスについても目を向けてみましょう。
試験への準備から取得費用の現実、そして日本馬術連盟(日馬連)への移行に関する最新の制度事情まで、より現実的で事務的な側面について、包み隠さず詳しく解説していきます。
計画的な取り組みと正確な情報収集が、スムーズな取得への鍵となります。
筆記試験対策
実技試験と同等か、あるいはそれ以上に受験者の頭を悩ませるのが、専門性が格段に跳ね上がる乗馬ライセンス2級の筆記試験対策です。
3級までと同様に実技・筆記の両面での評価が行われますが、2級における学科試験は単なる安全確認や基礎知識のレベルを大きく超え、馬術理論の非常に深い理解が問われます。
まず求められるのが、実技を裏付けるための解剖学的、生理学的な知識です。
馬の骨格や筋肉の細かな名称、複雑な消化器官の構造を正確に暗記する必要があります。
さらに、獣医学的にも重要とされる馬特有の致命的な疾病である疝痛(せんつう)、跛行(はこう)、蹄葉炎(ていようえん)などの原因と、発見時の適切な初期対処法に関する専門知識は必須項目です。
馬は自身の体調不良を言葉で訴えることができません。
そのため、騎乗者が微細な異変にいち早く気づき、獣医師に的確な情報を伝えられる知識を有しているかどうかが、上級騎乗者としての責任として厳しく問われるのです。
また、各種のハミや鞍の構造といった専門的な馬具の適切な使用法と日々の手入れの知識、実際の競技会におけるペナルティの基準や経路の規程などのルールについても深く学ぶ必要があります。
加えて、馬場馬術および障害飛越の歴史的背景に至るまで出題範囲は多岐にわたります。
これほどの広範囲な知識を一夜漬けで完璧に暗記することは不可能に近いと言えます。
週末の限られた時間を有効に使い、通勤時間なども活用して計画的に学習を進める習慣づくりが何よりも大切になってきます。
過去問活用法

広範囲にわたる出題範囲を効率よく網羅するためには、乗馬ライセンス2級の過去問や公式テキストを効果的に活用する学習法が欠かせません。
過去問を解くことで、どの分野からどのような形式で出題されるのかという傾向を掴むことができますが、ただ過去問の答えを丸暗記するだけの学習では、実践で使える生きた知識にはなりません。
試験対策における最も有効なアプローチは、テキスト上の知識と、日々の乗馬クラブでの実践的な経験を強力に結びつけて定着させることです。
たとえば、馬の骨格や筋肉の名称を覚える際は、単に図解を眺めるだけでなく、日々の馬装(馬に馬具を取り付ける作業)や手入れの際に、実際の馬の身体に優しく触れながら「ここが肩甲骨だな」「ここが飛節だな」と確認していく作業が非常に効果的です。
また、病気の兆候についても、クラブのインストラクターや厩務員さんが普段どのような点に注意して馬を観察しているのか、積極的に質問して現場の生の声を聞くことも大きな学びになります。
座学でのインプットと、馬舎でのアウトプットを繰り返すことで、脳内での情報の繋がりが強力に強化されます。
練習と勉強の両輪をバランスよく回すことが、2級取得という高いハードルを越えるための最も確実で揺るぎない道筋となります。
過去問はあくまで知識の定着度を測るツールとして使い、現場での実感と結びつけることを強く意識してください。
取得費用の目安

資格取得を目指す上で、絶対に避けては通れないのが「乗馬ライセンス2級の取得費用」という現実的な問題です。
初級から中級(5級から4級)にかけての段階では、あらかじめ必要なレッスン回数と検定試験がセットになった「パッケージ料金」が設定されていることが多く、予算の見通しが立てやすいのが特徴です。
しかし、上級である3級から2級へとステップアップする段階で、多くの乗馬クラブにおける料金体系が大きく変化します。
このレベルになると、障害飛越や馬場経路に特化した専門レッスンごとに費用が発生する「従量課金モデル」へと移行するのが一般的です。
1レッスンあたりの費用は全国のクラブによって極めて差が大きく、1万円未満で受講できる環境もあれば、3万円以上かかるケースもあり、平均値で語ることは困難です。おおむね1万円台から数万円の幅が多い傾向にあります。
そして、インストラクターの許可が出た段階で受験する検定試験についてですが、全国乗馬倶楽部振興協会(全乗協)が定める公式な「審査料」は各級とも全国一律で11,000円(税込)と定められています。
| 費用の項目 | 一般的な目安と内訳 | 課金モデルの性質 |
|---|---|---|
| 専門レッスン代(1回あたり) | 1万円台〜数万円(クラブにより大幅に異なる) | 従量課金型(変動費) |
| 検定審査料(全乗協公式) | 11,000円(税込) | 一律固定費 |
| 借馬代・施設利用料等(試験時) | クラブ規定による(多くは2万円前後になることが多い) | クラブごとの変動費 |
※上記に示した数値データはあくまで目安であり、所属するクラブや地域によって総額は大きく変動します。試験時には全乗協の審査料11,000円に加えて、クラブへ支払う借馬代などが加算されるため、最終的な支払いが2万円前後になるケースが多く見られます。
正確な最新の料金情報については、必ずご自身が所属する乗馬クラブの公式サイト等で直接ご確認ください。
合格までに必要なレッスン回数は個人のペースによって変動するため、2級取得は明確に「中長期的な自己投資」となります。自身の予算としっかり相談して計画を立てましょう。
2級から日馬連へ

乗馬ライセンス2級を目指すアスリート志向の騎乗者にとって、かつて最大のモチベーションとなっていたのが、公益社団法人日本馬術連盟(日馬連)の「騎乗者資格B級」への直接移行制度でした。
日本国内における馬術関連団体には明確な役割の違いがあります。
私たちが受験する乗馬ライセンスを発行する全国乗馬倶楽部振興協会(全乗協)は、主に乗馬の一般普及やレクリエーション活動の支援、技術レベルの認識を目的とする団体です。
一方、日本馬術連盟(日馬連)は、日本における馬術競技を統括する唯一の国内競技連盟(NF)であり、国民スポーツ大会(国スポ)や全日本選手権、オリンピックへと続く公式の競技体系を管理している権威ある組織です。
公的機関の認定情報として、各資格の定義や目的を正確に把握しておくことは競技者としての基本です。(出典:公益社団法人 全国乗馬倶楽部振興協会『技能認定審査』)
そのため、全乗協の資格から日馬連の資格へ移行することは「公式な馬術アスリート」への身分変更を意味します。
しかし、ここで極めて重要な事実をお伝えしなければなりません。
以前は全乗協の2級を取得すれば日馬連のB級へ移行することが可能でしたが、令和4年(2022年)4月1日の大幅な制度改定により、エンデュランス種目などの例外を除き、障害と馬場においては「2級からの日馬連B級への移行は原則として廃止」されました。
現行制度において日馬連のB級資格(またはB級馬場馬術限定)を取得するためには、全乗協の「1級」を取得することが必須条件へと引き上げられたのです。
この制度変更を知らずに、旧情報のまま「2級を取れば日馬連に行ける」と誤解している受験者は後を絶ちません。
つまり、現在の乗馬ライセンス2級は日馬連への「直接のチケット」ではなく、真のチケットである1級を取得するための「絶対に避けて通れない必須のステップ(前提条件)」という位置づけに変わったことを、正確に理解しておく必要があります。
2級の移行条件
前述の通り、令和4年4月の制度改定により、現在の移行条件は非常に厳格化されています。
乗馬ライセンス2級を取得したからといって、そのまま日馬連の公式なB級ライセンスへと移行することはできません。
アスリートとしてのキャリアを描く場合、まずは2級の壁を確実に突破し、その上でさらに高度な技術が要求される「1級」の認定審査に合格する必要があります。
見事1級を取得できた後の移行手続きの流れ自体は、以前と同様に複数の組織をまたぐ事務手続きが必要です。
まずは全乗協から公式な「騎乗者資格取得証明書」の発行を受けます。
続いて、個人が直接日馬連に入会することはできない規定となっているため、必ず自身が居住または所属する地域の「都道府県馬術連盟」を通じた入会手続きを行わなければなりません。
そして最後に、都道府県馬術連盟を通じて日馬連へ資格登録申請書と証明書の原本を送付し、登録料を納付することで、ようやく念願のB級資格への移行が完了します。
※資格移行制度に関して極めて重要な点は、各関連団体の規程改定によって要件や対象となる級位が突然変更されるリスクが常に存在するという事実です。令和4年の改定がまさにその典型例です。
古いインターネットの情報だけを鵜呑みにすると、公式競技会へのエントリーができず、長期間にわたって競技計画に致命的な狂いが生じる事態になりかねません。
最終的な判断や最新の手続き方法、エンデュランス等その他の種目における例外規定については、必ず所属クラブの事務局や専門家にご相談いただき、ご自身の責任において一次情報を確認してください。
実技や筆記の訓練で技術を磨くことと同じくらい、最新の制度改定の動向を常にモニタリングする高い情報リテラシーが、現代の競技者には強く求められるのです。
まとめ:週末の練習で挑む乗馬ライセンス2級

ここまで、乗馬ライセンス2級が持つ壁の高さ、技術的な違い、費用の現実、そしてその先にある競技アスリートへの道について、最新の制度情報も交えながら詳しく解説してきました。
改めて振り返ると、2級の取得は決して生半可な気持ちで達成できるような簡単な道のりではありません。
パッシブな騎乗からアクティブな騎乗へのパラダイムシフトを乗り越え、膨大な専門知識を頭に叩き込み、不確実な費用負担に対する長期的な計画を立てる必要があります。
さらに、日馬連への直接移行が1級へと引き上げられた現在、2級はあくまで「通過点」としての性格を強めましたが、だからこそこのステップで確固たる基礎を築くことが、今後の競技人生のすべてを決定づけると言っても過言ではありません。
馬場と障害というそれぞれの専門領域において、自分より遥かに大きな質量の生き物の運動を能動的にコントロールする感覚を掴んだときのあの震えるような喜びと感動は、それまでのすべての苦労を吹き飛ばしてくれるほど格別なものです。
週末の限られた時間しか乗れない私のようなサンデーライダーであっても、質の高い指導環境を提供してくれるクラブを選び、焦らず着実に自己投資を行っていけば、必ずこの高い壁は越えられます。

馬という繊細で意志を持った生き物と深くコミュニケーションを取り、真の「人馬一体」の境地を目指すそのプロセス自体が、私たちの人生においてかけがえのない豊かな経験となるはずです。
この記事が、乗馬ライセンス2級という大きな目標に向かって果敢に挑む皆さんの背中を少しでも押し、充実した週末ウマさんぽライフの一助となることができれば、一人の乗馬愛好家としてこれ以上の喜びはありません。
怪我にだけは十分に気をつけながら、素晴らしい馬術の世界を共に探求し、最高の乗馬ライフを送っていきましょう。

